茅ヶ崎での写経


      

          

埼玉県近代美術館から出品の依頼を受けた。

与えられた空間は今まで経験したことのない広々とした展示室だった。

永山はここを出会いの場にしようと考えた。

一人の人間を包めれば紙の衣装は、
多くの人々を包み込む巨大なテントとなった。

それは想像を絶する作業となった。

茅ヶ崎の海岸に600畳分の和紙を敷きつめ、全身を使って写経を行った。
それを細く切って手で縒り、ひたすら編み続けた。
完成には2年の歳月を要した。

百合の花の形状を持った聖堂を前に、
これまで支えてくれた人々の顔が走馬灯のように駆け巡る。(K.M)